女は強いなんてよく言われますが、女性のカラダはとてもデリケート。
安定した精神状態を保つに重要な自律神経は、ホルモンバランスの影響で乱れやすく不安を感じやすくなったり、わけもなく悲しくなったりと心だってとても繊細です。
また、男性よりも体温が低くて冷えやすく手足はいつだって冷たいですよね。
この冷えや自律神経、ホルモンバランスの乱れで女性の健康状態や精神状態は揺らぎやすいのです。
そして、それらの影響を大きく受けやすいのが生理前です。
イライラしたり、悲しくなったり、やる気がなくなったりと不安定になりやすい精神状態に加え、腹痛や頭痛、むくみ、便秘などの肉体的な不調もあらわれます。
これがPMS(月経前症候群)です。
このPMSにお灸が良いと言われているのをご存知でしょうか?
辛いPMSの改善に密かにお灸治療を取りいれている女性も増えているんですよ。
ここでは、なぜお灸がPMS症状に良いのか、またどう良いのかなど、お灸治療の解説などと合わせて詳しく説明していきます。
目次
そもそも「お灸」とはなにか
お灸の起源は今から二千年程前で、中国の北部が発祥の地と言われますが、実はそれよりもさらに前の古代インドやチベットが発祥ではないかとも言われています。
いずれにせよ、お灸治療は古くから親しまれてきた伝統的な健康療法です。日本に入ってきたのは6世紀頃で仏教とともに広まったと考えられています。
お灸の材料はもぐさ
お灸の伝統的な施術方法は、もぐさを使い全身の各ツボや悩みに効果のあるツボを熱によって刺激するという療法です。
皮膚に直接もぐさをのせて火をつけツボを刺激する方法と、もぐさと皮膚が直接触れないように昔はみそや薄く切ったにんにくなどをもぐさの下に敷く方法もありました。
現代では、お灸と皮膚の間に専用の紙を敷いてお灸を置くという方法があります。
お灸は熱い?
お灸は熱いというイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?
悪いことをした子に「お灸をすえる」という言葉があるくらいですから、お灸は熱いものと思いがちですよね。
確かに、伝統的な方法であるもぐさを皮膚に直接のせてそこに着火するというやり方では、治療後水泡ができたり赤く跡になったりということも多かったようです。
しかし最近のお灸は、専用の紙を敷く他にも、無痕灸(むこんきゅう)といって、熱の刺激が穏やかな温熱刺激のお灸も多く使われるようになっているので熱くて怖いという心配も無用です。
お灸は、そのツボ刺激と温熱作用により、全身または不調部分を温めたり活性させたりして免疫力や代謝を高め、人が持つ自然治癒力を引き出す効果があります。
お灸治療はカラダにどんな効果をもたらすのか
東洋医学では、人の健康なカラダとは「血」「気」「水」がバランス良く体内に存在し、その流れが良いことで保つことができると考えられています。
特に「血」である血流は、悪くなることで様々な不調があらわれます。お灸治療では、ツボ刺激と温熱作用によりこの血流を改善し多くの不快な症状を和らげることができます。
人のカラダには365個ものツボがある
ツボ刺激という言葉が一般的になりましたが、このツボは人のカラダになんと365個も存在すると言われています。
また、東洋医学の考え方である「血」「気」「水」の流れる経路には、いくつもの分岐点や交差点のようなヶ所があり、それらを刺激したり温めたりするだけでも経路の流れが良くなり健康的になるとされています。
そして365個もあるツボはそれぞれ内臓や神経などと連動していて、働きの弱った内臓などにつながるツボを刺激することでそれらが活発に働き元気を取り戻すことができるとも考えられています。
お灸は全身の血流を促し自律神経を整える
お灸治療をすることで、経路の流れは良くなり血流も改善されます。そのことにより、自律神経が安定し様々な不調が軽減されます。
例えば、
- 睡眠障害
- 疲労感
- 倦怠感
- ストレス
- 頭痛
- のぼせ
- イライラ
- 不安感
など、挙げればきりがありませんが自律神経が乱れることで起こる不調は本当に多いです。
そして何より、自律神経が安定することでホルモンバランスの乱れも改善されていくので、女性にとってはとても良い効果を得ることができます。
PMS症状の改善にお灸が効果がある
お灸治療によって、血流は良くなりさらに自律神経が安定することでPMS症状が改善されます。
女性の約90%の人がPMSに悩まされているということが、大正製薬の調査などによって明らかになっています。
そしてこの多くの女性が体験するPMSの主な症状は、
- イライラ
- 不安感
- 倦怠感
- めまい
- 頭痛
- 腰痛
- 腹痛
- 肌荒れ
などです。
これらのPMS症状のほとんどに自律神経が関わりますので、お灸治療で自律神経を整えるというのはPMS症状の改善にはとても有効的です。
また、血流が良くなるので冷えの改善にも役立ち、冷えから来るめまい、腹痛、腰痛、便秘などのPMS症状の改善にも期待がもてます。
PMS症状に良い3つのツボ
最近は、自宅で簡単にできるお灸ケア製品も販売されています。
本来は、プロに悩みを相談してその不調にあったお灸治療をしてもらうのが一番ですが、毎回治療院に行く予算や時間がないという人は、3つのツボを覚えておいて自分でお灸ケアするのも良いでしょう。
PMS症状の改善のために覚えておきたいツボは、
- 三陰交(さんいんこう)
- 血海(けっかい)
- 関元(かんげん)
の3つです。
三陰交
三陰交は、脚の内側のくるぶしから親指以外の指4本分ほど上に上がった場所にあるツボです。
女性特有の症状を改善し、活力を与えてくれるツボです。冷えの改善にも効果的です。
血海
膝の内側に指がスッと入る場所がありますが、そこから親指以外の指3本分ほど上に上がった場所にあるツボです。
骨盤内の血流を良くし骨盤の調子をよくしてくれますので、PMS症状による腹痛や腰痛の改善にも効果的です。
関元
おへそから親指以外の指3本分ほど下に下がったところにあるツボです。元気の元という意味で名づけられたツボで、冷えの改善にとても効果的なツボです。
この3つのツボに、お灸をおいてあげることでPMS症状の緩和に期待が持てます。
また、お灸の温熱作用でカラダが内側からぽかぽか温まるので、リラックス効果も得られ生理前の緊張したカラダや心をほぐしてくれます。
お灸は、全身の流れを良くし自律神経のバランスを整えると同時に免疫力や代謝アップにも良い影響を与えてくれます。
日頃の冷えや血行不良などからくるPMS症状の改善に、ぜひ、お灸を試してはいかがでしょうか?
程良いツボ刺激と温熱作用で疲れたカラダも癒されますよ。