生理が始まる前になると、辛い頭痛や腰痛、腹痛などの肉体的症状に悩まされ、それだけでも厄介なのにいつもよりイライラしたり悲しくなったり、何もやる気がおきなくなったりと女性は本当に大変ですよね。
こんな状態はPMS(月経前症候群)といって、女性のおよそ90%もの人が悩まされているんです。
ホルモンバランスが乱れる関係で食欲も増し、いけないとわかっていても食べ過ぎてしまったり、甘いものを全力で欲してしまったりします。
しかし、この辛いPMS期こそ甘いものを我慢して糖質制限することが症状の悪化を防ぐ方法なんです。
ここでは、そんなPMS期の糖質制限をすることによるメリットやデメリット、生理前に甘いものが欲しくなる理由を解説していきます。
PMS期はなぜ甘いものが食べたくなるのか
女性はもともと美味しくて可愛いスイーツが大好きですよね。
でも、ダイエットのために食べる量を減らしたり、普段は我慢したりと摂取量を調節している人も多いはず。
ただ、そんな我慢もPMS症状が出始める生理前には全くできなくなってしまいませんか?
それは仕方のないことでもあるんです。
PMS期はプロゲステロン分泌でカラダは脂肪を蓄えようとする
生理が始まる前の10日〜2週間程前は、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの分泌が増えます。
このホルモンが分泌されると、カラダは生理の出血による栄養不足を防ごうと脂肪を蓄えようと働きます。
糖分は体内に入ると胃や小腸の働きによってブドウ糖に変換され、その後エネルギーとして消費されますが、消費されなかったブドウ糖は肝臓に運ばれ遊離脂肪酸と混ざり中性脂肪へと変わります
栄養不足を防ごうと働き脂肪を蓄えようとするPMS期のカラダは、糖質を沢山摂取して体内に入れ中性脂肪を多く作ろうとします。
そのため、甘いものがいつも以上に食べたくなってしまうのですね。
プロゲステロンによりインスリンの働きが低下する
インスリンという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
このインスリンは常に私たちの体内で作られ働いています。
インスリンの主な働きは、体内の血糖値を適切にすることです。
食事などによって血糖値が上がるとインスリンが働いて血糖値を下げようとします。
そしてインスリンの働きは女性ホルモンの影響を受けます。
エストロゲン(卵胞ホルモン)によってその作用は高まり、プロゲステロン(黄体ホルモン)によってその作用は低下します。
そのため、プロゲステロン分泌量が増えるPMS期は、インシュリンの働きが低下し血糖値が普段より上昇しやすくなってしまいます。
血糖値は上昇すると急激に下がっていきますので、その時に甘いものを欲してしまうのです。
だから、PMS期はいつもより甘いものをたくさん食べたくなってしまうのですね。
糖質制限って何をするの?
糖質制限と聞くと、一切糖分を摂ってはいけないの?と思ってしまいますよね。
でもそんなことはありません。
糖質とは脳のエネルギーとなとったり、カラダを動かす際のエネルギーとなったりします。そのため、カラダにはなくてはならないものでもあるんです。
ただ、摂り過ぎてしまうことで上記にもあるように中性脂肪となりカラダにはデメリットとなってしまうわけです。
生物の進化は数億年レベルで少しずつ起こるものですので、そもそも人間の身体は2000年前からほとんど変わっていません。
にも関わらず、ここ60年くらいの飽食時代によって、普段の私達の食生活はそもそもの人間にとって明らかな糖質や脂質の過剰摂取なのです。
そこで食事から摂取する糖質の量を調節することで糖質の摂りすぎによるデメリットが出ないようにしていく糖質制限が注目されるようになりました。
この糖質制限は、肥満や生活習慣病予防の他にも女性にとって良いことが多々あるんですよ。
また特にPMS期には糖質制限することでメリットを得ることができます。
PMS期に糖質制限をするメリット
甘いものを強く欲してしまうPMS期の糖質制限は、少々厳しいことでもありますが実践していくことでメリットが得られます。
PMS期に糖質制限をするメリットは大きく3つあります。
- PMS症状の軽減ができる
- PMS期のやる気のなさを改善できる
- 太りやすいPMS期も体重増を抑えられる
1.女性ホルモンバランスの乱れを抑える
PMS期は、心身ともに活発にしてくれるエストロゲンの分泌が減り、その分体調や精神状態を不安定にさせてしまうプロゲステロンの分泌が増えます。
このホルモンバランスの乱れは、糖質の過剰摂取にも要因があります。
体内の糖質量が安定していないと、血糖値が上がった際にインシュリンが多く分泌されて、結果として低血糖を引き起こします。
低血糖が起こると、今度は血糖値をあげるために、アドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンが過剰に分泌されるようになり、それがPMSやPMDD症状を引き起こすという米国の医学調査結果があります。
そのため、PMS期に適度な糖質制限をすることで体内の糖質量を安定させ、ホルモンバランスの乱れを最小限に抑え、PMS症状の軽減や生理痛の予防などつなげることができます。
2.PMS期の倦怠感、やる気のなさを改善できる
PMS期は、どうしてもカラダが重くなったり、倦怠感を感じたりして何に対してもやる気を失いがちですよね。
何より、眠気が強くなり集中力が低下してしまうのが厄介。
そのうえ、PMSによる甘いものの食べ過ぎでインシュリンが血糖値を急激に下げ低血糖状態になりさらなる眠気に襲われ、「もう何もできない」という状態になってしまう人も多いでしょう。
そこで、糖質を制限し血糖値の上昇を抑えることで低血糖状態を防ぐことができます。
そのため、集中力の低下を抑えやる気のなさも改善することができます。
3.太りやすいPMS期も体重増を抑えられる
PMS期は、生理の出血による栄養不足を防ぐためカラダは脂肪などをいつもよりも溜め込もうと働きます。
そのため、代謝が低下しますので糖質の摂り過ぎは中性脂肪を増やし体重増につながってしまいます。
この時しっかり糖質制限ができればPMS期に無駄に太ってしまうこともありません。
PMS期は、ホルモンバランスの乱れによる体内の変化で食欲を抑えるのも難しくなってしまいます。
ましてや、強く求めてしまう甘いものを我慢するなんてとても過酷ですよね。
でも、甘いものでも上手に選び、PMS期に食べる食材などに注意していくことで無理なく糖質制限することができますので、ぜひ、実践してみましょう。
PMS期の無理のない糖質制限の仕方
糖質制限というと、お米などの炭水化物は摂ってはダメ、甘いものなどもっての他、と思ってしまいますよね。
でも、そんなことはありません。
野菜やお肉、甘いものも食べながら糖質制限していく方法もありますので試してみましょう。
野菜を増やして糖質を抑える
糖質制限中は、野菜と同じ様にヘルシーなイメージのあるイモ類は避け栄養価が高く糖質の少ない野菜を積極的に食べます。
糖質を多く含むため注意したイモ類や根菜は、下記のようなものがあります。
- じゃがいも
- さつまいも
- サトイモ
- かぼちゃ
- にんじん
- ごぼう
これらはカラダにとって良い栄養素となりますが糖質制限中は避けましょう。
糖質制限中にぜひ食べたいおすすめの野菜は下記のようなものです。
- もやし
- ほうれんそう
- ブロッコリー
- キャベツ
- 水菜
- レタス
特にもやしは、糖質や炭水化物をほとんど含まないにも関わらずビタミンやミネラルも豊富です。
何より低価格でたくさん食べられ毎日続けられるという点が嬉しいです。
キャベツは食物繊維や水分を多く含みますので、便秘になりやすいPMS期には最適です。
ブロッコリーや水菜、レタスなどももちろん糖質をほとんど含みませんし豊富なビタミン、ミネラル、水分も含まれますからおすすめです。
野菜だけでなくお肉でタンパク質も摂ろう
いくら糖質制限だからといって、体力も落ちやすいPMS期に野菜だけでは体力が持ちません。
糖質を含まないお肉も適度に食べてタンパク質を摂り体力を維持しましょう。
野菜と一緒に摂りたいお肉はオススメが4つあります。
- 鶏胸肉
- 鶏ささみ
- 豚肉
- 牛赤身
鶏胸肉や鶏ささみは、糖質を含まずさらに脂質もほとんどありません。
低カロリーでありながら、良質のたんぱく質を摂ることができますのでキャベツやレタスと一緒に蒸し鶏サラダなどにしてもおすすめです。
豚肉は、脂身にも栄養がありタンパク質もしっかり摂れます。
もやしと一緒に冷しゃぶサラダなどにしても美味しくヘルシーに頂けます。
牛肉は赤身であればタンパク質も摂れ落ち気味の体力も復活させることができます。
糖質制限中のストレスを防ぐため適度に甘いものも食べよう
PMS期はとにかくストレスを感じやすくなっていますよね。
甘いものを我慢することでさらにストレスになってしまいますから、糖質制限の邪魔をしない程度に甘いものも摂っていきましょう。
糖質制限中に食べても良い甘いものは、3つです。
- ドライフルーツ
- アーモンド
- ココア
よく噛んで少量で満足感を得るようにして食べましょう。
ドライフルーツやアーモンドは、最近無糖のものも多く販売されています。
素材の甘みだけでも十分に美味しく食べることができます。
ドライフルーツならビタミンやミネラルも豊富ですし、アーモンドは抗酸化作用の高いンビタミンEが豊富です。
また、噛み応えがありますから少量で満足感を得ることができます。
ココアは、無糖であってもほのかに甘みを感じることができますし、ホルモンバランスを整える作用もあるのでおすすめです。
カカオの味で、チョコレートを食べたいのを抑えることも出来ますしね(笑)
糖質制限は食事制限とは違いますから、食べられるもの豊富です。
お肉や野菜をしっかり食べて、糖質を抑えながらも栄養はしっかり摂っていきましょう。
PMS期の糖質制限の注意点
糖質は三大栄養素のひとつであり、カラダには必要不可欠です。
そのため、不足してしまうと様々な不調の原因となります。
PMS症状や生理痛の悪化、体力の低下などが起こりますから、一切摂らないのではなく「抑える」に留めましょう。
糖質制限中でもお米は食べよう
お米は食べることで徐々に血糖値を上げ、一定のところに達するとそれを長時間維持します。
そのため、朝にお米を食べれば集中力が続き、さらには腹持ちの良さから間食を抑えることができます。
PMS期の糖質制限の際は、朝なら通常よりもほんの少し減らしたご飯を一善。
お昼や夜なら、いつもの半分程度と、1日1回はお米で炭水化物を摂りましょう。
過度な糖質制限は筋肉を弱らせるので注意が必要
糖質が体内に不足し過ぎてしまうと、糖質をエネルギーとする脳は筋肉や骨からそれを吸収します。
すると筋肉や骨は弱り、逆に代謝が低下してまい太りやすくなってしまいます。
糖質制限中であっても、お米や果物、時にドライフルーツ、アーモンド、ココアなどで糖質も適度に摂りましょう。
PMS期に食べ過ぎてしまう甘いものは、PMS症状や生理痛の悪化、肥満につなげてしまいます。
程良く糖質制限することで女性にとって嬉しいメリットを得ることができます。
糖質制限と平行して、PMSを改善させる様々な栄養素を簡単に摂取できるサプリメントもオススメです。
下記の記事では管理栄養士の観点から複数のPMSサプリメントの効果を比較していますので参考にしてみてください。